「形骸を断ずる所以なり」
「心身の不自由が進み、病苦が堪え難し。去る六月十日、脳梗塞の発作に遭いし以来の江藤淳は、形骸に過ぎず、自ら処決して形骸を断ずる所以なり。乞う、諸君よ、これを諒とせられよ。 平成十一年七月二十一日 江藤淳」
江藤淳が逝って、はや六年。
彼の死には賛否ある。
自殺という行為自体は悪であり(そう考えるべきであり)、常に批判すべきものであると考えるが、人の気持ちはその人生を生きてきた、その人本人にしかわかり得ないものである。否、その本人でさえわかっているかどうか怪しいものである。
死んでしまった者を批判してどうなるか。
死を急ぐ者を抑え、死んでしまった者は静かに崇める。
それで良いと思う。
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