NAKAMOTO PERSONAL

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「文化は生き方である」

「遺体掲げ村民1万人が抗議 妊婦死亡で中国・湖南省」(産経新聞)
 → http://www.sankei.co.jp/news/050709/kok061.htm

 9日付香港紙、蘋果日報によると、中国湖南省衡山県の村で先月末、公安当局の強制捜査の際に、村に住む妊娠中の女性が殴られるなどして死亡。反発した1万人以上の村民が女性の遺体を掲げて交番前で抗議し、一部が車を横転させたり、交番のガラスを割るなど暴徒化した。

 同紙によると、当局は女性の家族が持つ小売店の免許に不備があるとして先月29日に女性の自宅を捜査し、家族らを連行。女性はこの際、公安と称する男から暴行を受けて死亡したという。

 当局が11万元(約150万円)の賠償金を女性の家族に支払った後に騒ぎは収まったという。

遺体を掲げながら抗議するという感覚は我々には理解できない。

死者に対する宗教感覚の違いが顕著に現れているように思える。


中国と日本では死者・遺体に対する感情が根本的に違う。
それはもちろん文化の優劣はなく、どちらが優れているかという問題ではない。
中国の文化にあわせる必要は無いし、逆もまた然り。文化の違いである。


靖国問題でも言われるように、戦犯であろうと、犯罪者であろうとも死者は等しく仏になる、死者を弔う日本人の宗教感覚。

罪を憎んで人を憎まず。


中国や韓国の抗議に引きずられてその感覚を捨てるであれば悲しいことである。




福田恆存に曰く、

 政治、経済、外交などと異なり、文化に関するかぎり、私たちは優劣や希望、絶望の観点からものを見ないほうがよい。文化に関するかぎり、長所は必ず短所に通じるものなのだ。一番大切なことは、自分の長所を知ってそれを助長し、短所を知ってそれを抑制するということよりも、長短とは関わりなく、日本の文化は私たちの「生き方」なのだからという、ただそれだけの理由でそれを愛し、それに自信をもつこである。(『文化崩壊の文化政策』)


日本への遺言―福田恒存語録 (文春文庫)

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